読み物

連載 北の息吹

2020年7月9日

188 谷地坊主

写真家 中島宏章


 釧路湿原といえば、国内初のラムサール登録湿地であり、国の特別天然記念物タンチョウが生息する国内最大の湿原です。そして釧路湿原の名物とまで言えるのが「谷地坊主(ヤチボウズ)」です。季節により、丸坊主のように見えたり、鬼太郎の頭のように見えたり、写真のように春の生え始めはパンクロッカーのようなツンツン頭をしています。ユニークな風貌は観光資源にもなり、釧路湿原にかかる橋の欄干には、谷地坊主をモチーフにしたデザインまで見られます(写真右下)。
 谷地坊主は、スゲ植物が密に集まり、冬期の凍結による隆起と雪解け水による侵食で、やがて坊主頭のような株がつくられます。谷地坊主の中は、隠れ場所が豊富なので、アリやネズミやサンショウウオなど湿原に住む小動物の住処になり、谷地坊主が1つの生態系と捉えることもできます。いろんな動物が集まる素敵な谷地坊主。とても可愛いです。

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