読み物

書籍紹介

2020年7月23日

コロナ時代の僕ら
パオロ・ジョルダーノ 著 飯田亮介 訳

著者は、大学院で素粒子物理学を専攻したイタリアの作家。ロックダウンされたローマの自宅で、次々と予定がキャンセルされる日々の中、自身と社会を見つめ直しながら書き下ろしたエッセイです。
 SIRモデルという考え方に基づいて、数学的アプローチから新しい感染症を捉えています。難しい数学の話ではなく、グローバル社会に生きる私たちに警鐘を鳴らします。現代社会を複雑に重なったレイヤー(層)に例え、「こうした感染症の流行に際しては、僕らのすること・しないことが、もはや自分の話だけではなくなる」「感染流行時の共同体といえば、それは人類全体のことだ」と指摘し、グローバル社会がもたらしたコロナ禍という事態に対し、人類が共同して対処する必要性を説いています。また、感染の重症化の原因として社会経済格差をあげ、健康の社会的決定要因にも目を向けています。
 後半には「コロナウイルスが『過ぎたあと』、そのうち復興が始まるだろう。だからもう僕らは、今からもう、よく考えておくべきだ。いったい何に元どおりになってほしくないかを」と、新自由主義からの決別を示唆しています。(吉)【早川書房・1430円】

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