読み物

書籍紹介

2020年10月23日

人新世の「資本論」
斎藤 幸平 著

 「人新世(ひとしんせい)」とは「人類が地球を破壊しつくす時代」という。一向に有効性が見出せない温暖化対策に対して著者は、「温暖化を生み出した資本主義を徹底的に批判し、それに代わる新しいシステムを生み出さなければならない」と指摘。著者は、その新しいシステムこそ「脱成長コミュニズム」で、利潤を追求する成長ではなく、そこに暮らす共同体の人々を幸福にし、経済成長はなくても人々の公平性は高まる。世界各地で協同組合による自然環境と共存する自治体運営の実践が始まっており、こうした自治体が国境を越えて連帯しはじめているという。
 30歳以下の若い世代は、社会主義を肯定的に捉えており、米大統領選挙ではサンダースを熱烈に支持し、環境保護のとりくみを展開している。資本主義を乗り越え、次の時代を迎える前に地球が滅んでは元も子もない。自然環境を壊しても今だけ金が儲かれば良いという1%へのたたかいは困難だが、社会の3・5%の人が非暴力の運動を起こすことで大きなムーブメントになると語る。「様々なアプローチから、新しい時代へ!」そういう期待を感じさせる一冊。(木)【集英社新書・1020円+税】

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