現場から

生きる希望が持てた

2018年4月12日

年金暮らしと無料低額診療

勤医協苫小牧病院の事例から

患者さんの相談に対応する行沢さん

 「苫小牧病院に入院できてよかった。救われました」と苫小牧市内に独居で暮らす鈴木登紀子さん(75歳・仮名)は話します。
 鈴木さんは23歳で結婚し男女2人の子どもを産みましたが30歳で離婚、シングルマザーとして子どもを育ててきました。経済的には恵まれなかったものの、なんとか子どもたちを独立させました。その後、縁があり45歳で再婚します。ところが、夫は給料も貯金も教えてくれず、家には月5万円しか入れません。趣味やお酒につぎ込み、借金まみれになりました。10年前に家を手放し、夫は5年前に他界。「山のような借金が残りました。私には遺産もなく、年金暮らしです」という鈴木さん。


バス代は一日の食事代
 年金は月9万円ほど。生活保護基準と同程度です。道営住宅に住み家賃の減免を受けているものの生活はぎりぎりです。一番の心配ごとは「健康」という鈴木さん。「本州に住む娘は心臓の病気があり、私は糖尿病で通院しています。医師から毎月検査が必要といわれていたけど、お金がなく、4ヵ月に1回にしていました。それでも負担は月5000円になっていました」。視力が落ちてきたので医師に相談すると、眼科受診を勧められました。「でも、バス代だけで700円かかる。一日の食費と同じだから行けないわよ」と肩を落とします。


「病気よりも入院費が心配」
 今年2月、受診したクリニックから検査結果の連絡があり、すぐに勤医協苫小牧病院に行くようにといわれました。検査の数値は、すぐに入院が必要な状態でした。
 苫小牧病院に入院して、「何か不安なこと、心配なことありますか」と病棟の看護師に聞かれ、「入院費が心配」と率直に答えると、看護師はすぐに医療福祉課に連絡しました。医療福祉課はさっそく無料低額診療制度利用の手続きをおこない、負担の心配なく治療を受けることができるようになりました。そのときの気持ちを鈴木さんは、こう話します。「自分の体よりも入院のお金が払えるか、不安でいっぱいだった。こんなに親切にされたのは初めてで、本当にうれしかった。地獄に仏だと思って、泣きました」。

生きる希望へ
 今回の入院代も今後の通院費も無料低額診療の適用になり、薬代も助成されると聞いて、「ようやく希望が持てた」という鈴木さん。娘さんも「苫小牧病院に入院できて本当に良かったね」と喜びました。「食事に運動に、医師のいうことをしっかり守って、迷惑かけないように残りの人生をがんばって生きようと思います」。現在は退院し、インスリン治療を始めています。


薬代助成の延長が決まる
 鈴木さんの事例について医療福祉課の行沢剛課長は「昨年12月に市長と懇談し、無料低額診療の薬代助成(調剤処方費助成)を6ヵ月から1年に延長してもらうように要望しました。そして、この4月から1年間に延長されることが決まりました。これで鈴木さんも1年間は、インスリンの費用も薬代も心配することなく受診を継続することができます」と話します。

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