現場から

難病制度の助成廃止・負担増に憤り

2018年6月14日

受給者証を発行された方が2ヶ月間入院した場合、2万円→11万5200円の負担に。治療中断の可能性も。

受給者証を発行された方が2ヶ月間入院した場合、2万円→11万5200円の負担に。治療中断の可能性も。

釧路協立病院では3人が医療費助成不認定に

 「難病の患者に対する医療等に関する法律」が施行され、2015年1月から難病制度が改正されました。昨年末に3年間の経過措置が終わり、以前の制度基準で認定されていた方々にとって大きな分かれ道になっています。道東勤医協釧路協立病院の事例から深刻な問題がみえてきました。


 今回の改正の大きな柱は、①対象疾病を331に増やしたこと、②月額自己負担上限額引き上げと算定方法の変更、③助成対象から「軽症者」を外したことです。

 まず大きな問題は、「月額自己負担上限額」の変更です。入院時の食事代が半額負担から全額自己負担になり、自己負担上限額は月額2万円から3万円へ。非課税者は自己負担「なし」から「あり」になります。さらに、重症患者の取り扱いをなくして高額療養費と同様の制度導入、これまでの所得階層ごとの自己負担額も一般所得以上は全て増額など、大幅な負担増となっています。


助成不認定の影響
 さらに深刻なことは、これまで助成を受けていたにもかかわらず「軽症者」とされた場合、「医療費助成不認定」となることです。これには特例があり、「軽症者」でも高額な医療費が継続している場合は対象になります(軽症高額特例)。
 当院は整形外科と外科の2科で、対象疾患は約10疾患、合わせて50~60人の申請に関わっています。現在までに3人の「医療費助成不認定」の通知を確認しました。
 2ヵ月程度の入院手術が必要となった方は、今回の申請で不認定になりました。後期高齢者で所得区分は一般のため月の上限額は5万7600円、約2ヵ月で10万円を超える自己負担額になります。入院費が高額になるので、「軽症高額特例」の対象になると考えました。しかし、「軽症高額特例」の対象となるのは、申請する時点で医療費総額が3万3330円を超える月が12ヵ月のうち3ヵ月以上ある場合なので、このままではずっと該当になりません。さらに驚いたのは、一度医療費を全額負担してから申請しなければならないことです。
 昨年までは受給者証発行を受けていた既認定者であれば、2ヵ月入院しても2万円と食事代総額の半分で済みましたが、11万5200円プラス食事代全額を負担することになったのです。
負担増のため難病の治療を中断する患者が増えるのではないかと本当に憤りを覚えます。今回、紹介した事例はほんの一例です。北海道民医連としても調査をすすめて、国や関係団体に働きかけていく必要があると強く思いました。(道東勤医協釧路協立病院・時田 恭平)

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