現場から

社福法人の減免制度を民間にも

2018年7月26日

苫小牧
民間等介護サービス利用者負担額軽減制度

 介護保険制度開始から18年。保険料の値上げ、利用料負担増など改悪され続け、必要な介護が受けられない人が増えています。こうした中、保険料や利用料の軽減、保健福祉施策などを独自におこなっている市町村もあります。苫小牧市の利用料負担軽減制度を紹介します。(渋谷真樹・県連事務局)


 苫小牧市の鈴木健二さん(70代・仮名・要介護)は、月11万円ほどの年金で一人暮らしをしています。そのうち介護保険料4400円、通所リハビリや訪問介護の利用料をあわせて約2万円がかかります。水光熱費、医療費、日常用品や食費などを払うと手元にはほとんど残りません。さらに冬には暖房費が重くのしかかります。
 訪問介護の利用料は本来、月5000円程度ですが、苫小牧市が独自におこなっている減免制度によって25%の1250円が軽減されています。勤医協しらかば居宅介護支援事業所の山内清美ケアマネジャーは、「趣味や娯楽にお金を使えない鈴木さんのようなギリギリの暮らしをしている高齢者に喜ばれています」と話します。


利用者の格差解消のために
 低所得で生計が困難な方を対象に介護サービスをおこなう社会福祉法人は、利用者負担金を25%軽減することができます。しかし、社会福祉法人以外の民間施設を利用している人は同じ介護保険料を納めているにもかかわらず軽減されないため、「不公平だ」という声がありました。
 2006年の定例議会で苫小牧市議の渡辺満さんが「介護サービス利用者の格差解消のためにも、社福法人だけでなく民間事業所にも軽減策をとるべきだ」と訴え、陳情が全会派一致で採択されました。市は財政難を理由に4年間棚上げしましたが、ねばり強く訴え続けました。
 その結果、「民間等介護サービス利用者負担額軽減制度」が2010年にできました。これにより、社会福祉法人以外の施設を利用しても利用料25%が軽減されることになりました。対象となるのは市町村民税非課税で、年収150万円以下などの条件を満たす方です。
 一般社団法人である日胆勤医協在宅は対象となる9事業所でこの減免制度を活用し、2017年には月平均20人が利用。101万6502円(月平均8万4709円)が減額されています。


減免制度の拡充を
 社会福祉法人による利用者負担額軽減制度は、①訪問介護、②通所介護、③短期入所生活介護、④認知症対応型通所介護、⑤定期巡回・随時対応型訪問介護看護、⑥小規模多機能型居宅介護、⑦地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、⑧介護老人福祉施設、のサービスにかかる利用料及び食費、居住費、宿泊費の利用者負担額の25%が軽減されるというもの。このうち苫小牧市内にある社会福祉法人の指定事業所が提供している①②③は、民間の事業所でも軽減されます。しかし、④~⑧のサービスを提供している社会福祉法人がないことを理由に対象外にされています。
 鈴木さんは通所リハビリサービスも利用し、月5000円以上かかっていますが、社会福祉法人での減免対象ではないので苫小牧市での減免制度の対象になっていません。山内ケアマネは、「通所リハビリや訪問看護などのサービスにも対象を広げることが求められています」と訴えます。
 日胆勤医協在宅の市村博司理事は、「不十分な点があっても自治体が独自に負担を軽減する制度は画期的です。この減免制度がまだ実施されていない自治体が多くあります。利用者さんのために、全道に広げていくことが求められています」と、議会への働きかけなど運動を呼びかけています。

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