現場から

訪問でわかる患者の背景

2018年12月13日

北海道保健企画 全職員11月集会で困難事例を共有

 北海道保健企画と札幌病院の薬剤師・事務員は今年の共同組織強化月間で、無料低額診療制度(無低)の利用者27件を訪問しました。そこで職員が見聞きしてきた事例を報告・共有しようと、11月26日に全職員集会を開催。テレビ会議とあわせて70人が参加して、今後の運動のあり方を考えました。(渋谷真樹・県連事務局)


 職員からの事例紹介に先立ち、北海道勤医協本部組織広報部・近藤良明部長が「貧困と格差の実態と私たちのとりくみ」と題して講演。年金だけでは生活できず貯金を切り崩している高齢者の事例、50代が80代を介護する8050問題などを紹介し「自己責任論が広がるいま、憲法・いのちと人権を守り抜く正念場。どうやって人権を守るか、私たちのアウトリーチの活動と可視化・発信が求められている」と呼びかけました。


無低で薬飲めている


 続いて、訪問行動に参加した職員6人が事例を紹介し、それぞれの感想を語りました。
 「60代男性は、手術費用を分割で支払い続け、病気の医療費窓口負担も大きい。カセットコンロを使ってガス代を節約するほど経済的に困窮している。無低を利用して薬を欠かさず飲めているが、『支払いができなくて申し訳ない』という。その姿をみて、窓口負担を払わなくてもいい社会になるようにしなければと感じた」(東区ライフサポート・鈴木雄大さん)。
 「地域で民生委員をしていることを生きがいにしている高齢の女性は、少ない年金収入を補うため生活費を借金して自己破産した。生活保護を利用して生活を立て直してほしいが、そのためには現在の住まいを離れなければならないため、生活保護を拒否。本人の思いを聞いて、どうしたらいいのか悩んだ。そうした状況でも無低があることで受診につながることができると感じた」(札幌病院・阿部美葉さん)


患者の背景を考えた


 事例紹介後のディスカッションで、訪問して感じたこと、患者さんに対する視点の変化を語りあいました。
 「薬局の窓口では患者さんと簡単な会話をする程度だったが、訪問に参加して、患者さんがどのような生活をしているのか分かった。今度訪問するときは薬を飲み忘れている人の家を訪問して、飲み忘れの理由を考えたい」(東区ひまわり薬局・洞赳瑠さん)。「訪問先で出会った患者さんが薬局に来たとき、背景を考えることができた。他の患者さんに対しても同じ視点をもつことができると思う」(北区ひまわり薬局・佐々木拓人さん)。「無低を多くの病院で利用できるようにしながら社会保障を充実する必要がある」(苫小牧ひまわり薬局・石川知樹さん)。
 また、世間での生活保護に対する偏見について、菊水ひまわり薬局の横山佳奈子さんは、「親戚や他人の目が気になるなど、生活保護を受けることの難しさを訪問先で知った。生活が改善されて社会復帰するチャンスをつくる良い制度だと世間の人に思ってほしい」と語りました。
 フロアからも積極的に発言が寄せられ、共通の意見として「訪問を続けて困難事例を発信し、日本全体に社会保障の充実を求めていこう」と決意しあいました。
 参加者から、「生活保護のバッシングはヘイトスピーチと根底が似ている。差別意識が高まる一方で、保護基準以下の人が増えている。この現状をなんとかしたい」「薬局窓口の会話だけでは患者さんが抱えている問題をみつけることは難しい。訪問で分かったことを大切にして今後の活動につなげていきたい」と感想が寄せられました。

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