現場から

血栓を物理的に回収

2019年1月1日

脳梗塞血管内治療を開始
勤医協中央病院 脳神経内科

脳卒中専門医の河野医師

 勤医協中央病院は2018年8月に「脳神経内科」を開設し、新たな脳梗塞治療を開始しました。その治療を中心的に担っている脳卒中専門医の河野龍平医師に聞きました。


 脳卒中は脳血管疾患の総称ですが、その約7割が脳の血管に血栓が詰まる「脳梗塞」で、残りは脳の血管が破れて出血する「脳内出血」「くも膜下出血」など。脳梗塞は寝たきり状態になる原因の第1位です。これまで治療の主流は、脳の血管に詰まった血栓を溶かして血流を再開通させる血栓溶解療法でした。しかし、治療開始時間が脳梗塞の発症から4時間30分以内でなければ治療できません。血管の再開通率は30%台で、特に脳の太い動脈に詰まった血栓の溶解作用は高くないという課題がありました。
 こうした中、新たに治療法として登場したのが「脳血管内治療」です。詰まった血栓を溶かすのではなく、カテーテルを挿入して物理的に回収する治療で、対象になるのは発症から8時間以内でよく、脳主幹動脈閉そくの患者です。


 太い血管にカテーテルを挿入し、血栓が詰まった血管に到達すると、先端から網状のステントを送り込み血栓を絡め取る方式と、吸引カテーテルで掃除機のように血栓を吸引して回収する方式があります。この血管内治療の再開通率は80%を超えています。さらに、血栓溶解療法と血管内治療を合わせておこなうことで、治療成績はいっそうよくなります。


時間とのたたかい


 脳梗塞の血栓溶解療法は発症から4時間30分以内、血管内療法は8時間以内が目安となっています。8時間を超えると点滴や投薬の保存的治療しかできなくなります。治療が早いほど選択肢が広がるため、まさに時間との勝負です。
 朝布団の中でマヒを起こして倒れている患者を家族が発見するケースでは正確な発症時刻は不明なため、家族に私たちは(症状がなかったと確認されている)「最終未発症確認時刻」を聞くことにしています。その時刻をもとに治療方針を決めます。
 中央病院では、脳卒中を疑う患者が発生した場合は、脳卒中担当医に直接連絡がきます。脳卒中担当医は直接診察するか、できない場合でもテレビ電話も使用して画像診断を確認し、緊急血行再建をするかどうかを判断します。中央病院では、このような体制を24時間365日とっています。


治療を支える脳卒中チーム


 この体制は医師だけでなく、看護師や放射線技師、臨床工学技士なども必要で、中央病院ではしっかりできる体制が確保されています。脳卒中の看護に習熟している看護師、検査やカテーテル治療をいつでもできる放射線技師・臨床工学技士、そして、発症直後からおこなわれる早期リハビリテーションは理学療法士と作業療法士、言語聴覚士が体制をつくっています。管理栄養士やMSWも含め、週2回脳卒中カンファレンスをおこなっています。脳卒中治療にふさわしい満足できるチームが中央病院にはあります。

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