現場から

受診困難で失われる命

2019年3月14日

北海道民医連が記者会見
手遅れ死亡事例を発表

 北海道民医連は12日に道庁記者クラブで記者会見をおこない、2018年の「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」結果を発表しました。26都道府県で77人にのぼった全日本民医連の調査結果とともに北海道の4事例を報告。深刻な実態を浮き彫りにして社会保障制度の改善を呼びかけました。


 主要紙、テレビ局など5社の記者が参加した記者会見で、道民医連の太田美季事務局長、勤医協中央病院の古田陽一医療福祉課課長、勤医協札幌病院の加藤琢也MSWが調査結果を報告。最後に小市健一会長が、医師の立場からまとめの報告をしました。
 太田事務局長は全日本民医連の調査結果の概要について、「地域で孤立をしている、とりわけ、中高年、独居、男性のリスクが高い」と説明。「手遅れ死」の原因には貧困があり、健康保険料が払えないため無保険になったり、窓口負担が払えず受診できない人が増えているとして、「死因は4分の3ががんの末期で、治療困難な状態まで我慢している。数々の悪政が、国民にいっそうの経済的困難をもたらしている。憲法25条を生かす政策への転換が必要」と訴えました。


4つの事例を告発
 古田課長、加藤MSWから、失業して無収入・無保険になり受診が遅れた50代男性や、後期高齢者医療受給者証が発行されていれば早めの受診につながったと思われる70代女性など4つの事例を報告しました。
 古田課長は、「年金が削られて高齢者の貧困が広がり、生活できない経済状態で、国民健康保険に加入しない、保険料を払えない人々が増えている」と事例からみえてくる問題を指摘。「国保料が非常に高く、窓口負担は3割で負担が大きい。生活保護は低所得者命綱にはなっていない。経済的困窮により病院に支払うお金がないため、どんなに具合が悪くても病院にかかるのを我慢するしかなかったという。無料低額診療制度を知っていれば、早期治療ができたのではないかと思うと残念でならない」とのべました。


受診できるしくみを
 小市健一会長は医師の立場から、「多くの事例が経済的のみならず、複合的な困難を抱えていた。具合が悪くてもどこにも誰にも相談できなかった。見つかったがんの多くがステージ4であり、痛みや辛さをかなり我慢していたと思われる。国や自治体は、お金がない人に安心して医療にかかれるしくみを考えていかなければならない。民医連では無料低額診療にとりくんでいるが、まだまだ知られていない。お金がないという理由で病院に行けない人たちに知らせていきたい」とのべました。
 記者からは、「今年は数が多いようだが、患者、利用者をめぐる状況が悪化しているということか?」などの質問が寄せられました。太田事務局長は、「そのような側面とともに、手遅れ死亡事例の問題を重視してきたことも調査結果に反映していると考えられる」と答えました。
 記者会見の内容は「北海道新聞」「読売新聞」などに掲載されました。事例については今後、道民医連新聞で紹介していく予定です。

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