現場から

一段一段、慎重に

2019年7月25日

勤医協小樽デイサービス
市営住宅の車イス利用者さんを送迎

デイは楽しみだけど…。不安げな表情の利用者さん

 エレベーターのない4~5階建ての市営住宅に多くの高齢者が住み、デイサービスを利用しています。車イスの利用者をどのように送迎しているのか、小樽デイサービスを取材しました。(渋谷真樹・県連事務局)


 「せーの、はい!」


 市営住宅の狭いコンクリートの階段に掛け声が響きます。利用者さんを乗せた車イスを職員2人がバランスを崩さないよう持ちあげ、一段ずつ安全を確かめながら登ります。利用者さんは少し不安げな表情を浮かべています。蒸し暑い階段の踊り場で呼吸を整えて2階の部屋に到着すると、職員の額には玉のような汗がみえました。
 「できるだけ利用者さんに恐怖心をもたせないように気をつけながら、持ち上げる2人にかかる力をうまく分散させるようにしています。腰を痛めないようにサポーターベルトを巻いている人もいます」と介護福祉士の土井口悦子さん。同じく介護福祉士の桂川智子さんは、「階段に車イスのタイヤを乗せながら進みますが、力がいります。2階よりも上に住む利用者さんの送迎は男性職員の力が必要になります」と話します。


貴重な外出の機会


 市営住宅の2階に住む小玉玲子さん(89歳)は脳梗塞で身体に麻痺が残り、車イス生活になりました。いっしょに暮らしている50代の息子さんは、「母が歩けるときは良かったのですが、病気になってからは週2回のデイサービスと、ヘルパーさんが来たときしか外出できません。デイは貴重です」と話します。小玉さんはデイのある朝は早起きして着替え、送迎を楽しみに待っているといいます。


引っ越したいけど…


 勤医協居宅介護支援事業所しおさいの主任介護支援専門員・小松谷智子さんは、「車イスの高齢者がいる世帯を優先的に1階に移動させてほしいと市の担当者にお願いしていますが、『そう簡単にはいかない』と言われました。部屋が空いた場合、入居できるように市が清掃をすることになっていますが、なかなか清掃されません。市営住宅からの退去を促しているように感じます」と話します。
 引っ越しが可能になったとしても、手続きや引っ越し業者の選定などの段取りの課題、費用がないなどの問題があります。迷惑をかけたくないからと引っ越しを諦めたり、長年住み慣れた部屋から出ることを嫌がる方も多く、いくつものハードルがあるといいます。
 地域にエレベーター付きの障害者向けの市営住宅が建てられましたが、介護者と同居していることが入居の条件になっているため、一人暮らしの方は入ることができません。
 小松谷さんは、「小樽市に働きかけていますが、早急な改善はなかなか難しいと感じています。今のところは、利用者さんとその家族を支えるためにスタッフが汗をかいて頑張るしかない状況です」と話します。

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