現場から

訪ねて分かった患者さんの日常

2025年1月1日

北見病院の全セクションで「気になる患者」訪問へ
「1職場1アウトリーチ」で28件

北見病院の全セクションで「気になる患者」訪問へ
「1職場1アウトリーチ」で28件

氷点下の中で訪問行動を頑張った医事課職員


 オホーツク勤医協は、9~11月の3ヵ月間を「友の会拡大強化月間」と位置づけ、アウトリーチ・ソーシャルアクションの実践として、「1職場1アウトリーチ」のとりくみに挑戦。「気になっている方を訪問しよう」と、人員不足で大変な中、8割のセクションから42人が参加して28件を訪問しました。


 菊地憲孝院長は、ひとりぐらしをしている高齢女性のAさんを訪ねました。部屋は綺麗に整頓され、薬も飲み忘れないように工夫されていました。訪問を終えた菊地院長は、「在宅生活はそろそろ限界かと思っていましたが、実際の生活を見ることが大切だとあらためて感じた」と話しました。

 放射線技師の早坂友里歌さんと事務の森本淳課長は、定期受診を中断している患者のBさんを訪ねました。Bさんは訪問してくれたことに喜び、「病院には億劫で行けなかった。家にまで来てくれて助かる、他の病院ではそんな事してくれないからね。また受診するよ」と約束しました。

 「自分の世話は妻がするのが当たり前だ!」と入院中に言い張っていたCさん。退院後の暮らしが気がかりだったので、訪問看護師の宮野良子主任と、退院支援に関わった看護師の越崎琴美さんが訪ねました。対応した妻は、「入院中にデイサービスに行けるようにしてくれたので、デイに行くようになった。その時間が私にとってのパラダイスね」と話し、かかりつけ医ができたことも安心と胸をなでおろしていました。越崎看護師は、「夫婦がそれぞれ生きがいを持ち、元気に暮らしている姿を見て少し安心しました」と話しました。

 デイサービスを利用しているDさんは、周囲の人たちを常に気遣う方です。そのためデイに通うことが心理的な負担になっていないかが気になり、デイサービスくわの木の大場朝也さんが訪問しました。Dさんは、「スタッフが親切にしてくれるからデイは大好き」と本音を話してくれました。

 入居後わずか1ヵ月で看取ったEさんのご家族を訪問したのは、グループホームたんぽぽの大和谷采加さん。あまりに早い最期に、ご家族の思いが気になっていました。ご家族から話を聞いたことで、「胸につかえていたものが取れた。今後の交流も大事にしていきたい」と話しました。

 医事課では、近隣の公民館を借りて、近隣住民や生活困窮者にカレーライスを提供しました。材料費は職員のカンパでまかない、35人が食事を楽しみました。

また、生活相談もおこないました。


 月間中のとりくみを全職員で共有しようと2回の報告会を開催し、74人が参加しました。「自宅だと話しやすさもあって、生活の困り事などを話してくれた。職員の学びとともに、患者・利用者さんの安心につながると思う。これからも大切にしていきたい」「今まで知らなかった患者さんの姿を知ることができた」と感想が寄せられました。訪問での学びは想像以上に多く、実際に行ってみることが大切だと強く感じました。(萬城菜実絵・北見病院・友の会月間事務局次長)

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