現場から

十勝では冬に糖尿病が悪化?

2019年11月14日

十勝勤医協  季節変動と地域特性に着目し調査 

糖尿病の季節変動を調査した(左から)佐藤さん、樋口さん、山本さん

 十勝勤医協・柳町医院(今年3月に閉院)と白樺医院の看護師たちは、通院している糖尿病患者の多くが秋から冬に病気が悪化していると感じていました。そこで、両医院の患者258人のHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)を調べ、月ごとの平均値を出すと一目瞭然(右表)。原因を知るためにアンケートを実施し、142人から回答をもらいました。そこからみえてきたこととは…。(渋谷真樹・県連事務局)


 柳町医院や白樺医院に通院している糖尿病患者さんの多くが冬になると悪化する傾向がありました。看護師の樋口いづみさん(現在は十勝勤医協・訪問看護ステーションほっとらいん所長)と、山本梢さん(現在は白樺医院)は、糖尿病の悪化と季節が関係するのではないかと考え、2017年9月から1年間にわたって調べることにしました。
 柳町医院と白樺医院を定期的に受診し、年6回以上採血検査している258人の糖尿病患者のカルテからHbA1cのデータを収集すると、6~11月は平均7・3~7・4%ですが、12月から上昇し、最も高い2月には7・71%になっていました。
 さらに142人の患者さんへアンケート調査を実施し、食事や活動量が季節によって変化するかを聞きました。半数以上の方が「秋から冬にかけて食事が増える」と答え、7割の方がジャガイモやカボチャ、果物などの食事量が増える一方、活動量は減ると答えています。


季節に着目した指導


 こうしたデータやアンケート、問診での聞き取りから、十勝ならではの悪化の原因がみえてきました。山本さんは、柳町医院に通う患者さんの傾向について「農家や庭に畑がある人が多く、春や夏は作業で体を動かしますが、冬には家でテレビをみて過ごす時間が長くなり、運動不足になりがちです」と話します。
 収穫が多くなる秋には余った野菜や果物を近所に配り歩き、そのお礼としてイモだんごや煮豆、漬物などをもらい、家に食料が溢れていきます。
 白樺医院の佐藤美由紀さん(現在は訪問看護ほっとらいん・副所長)は、「冬は路面が凍って危険なので、外出や買い物を控えようとまとめ買いします。単価が安いので経済的ですが、腐る前に食べようとして食べ過ぎてしまうことも。十勝は雪が少ないので除雪で体を動かす機会が少ないことも糖尿病悪化につながっているのではないでしょうか」と話します。
 樋口さんは、「こうした季節変動や地域の特性を考慮してアドバイスすることが必要だと改めて気づきました」と話します。自宅で過ごすことが多い患者さんには室内でできる運動を紹介し、糖質が増える患者さんにはジャガイモやカボチャなどの炭水化物の多い野菜を控えるよう工夫してもらう、箱買いをできるだけ控えてもらうなど、季節変動や地域特性に着目した療養指導をおこなうことが必要です。白樺医院では、HbA1cが変動する患者さんに向けたパンフレットを作り、糖尿病悪化と合併症の進展予防に努めることにしています。


※HbA1c = 赤血球の中にある蛋白とブドウ糖が結合した物質。1~2ヶ月間の血糖の状態を推定できる。正常値は4.3~5.8%、6.5%以上で糖尿病が疑われる。

 


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