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2026年9月18日

中央病院産婦人科 移転開院

中央病院産婦人科 移転開院

川真田医師、西岡医師(中央)、助産師の嵯峨さん(左)とスタッフのみなさん

今年4月、勤医協札幌病院から中央病院へと拠点を移した産婦人科。新たな環境で周産期医療と婦人科診療にとりくみ、分娩と婦人科手術を担っています。総合病院の強みを生かして、「どんな困難な背景を持つ患者さんにも寄り添うこと」を大切にしています。(渋谷真樹・県連事務局)


職員の思いを一つに

「移転にあたり最も心がけたのは、スタッフ全員の意思統一です」と産婦人科科長の西岡利泰医師は振り返ります。今回の移転の大きな目的は、法人の経営基盤強化です。労働環境や設備面での変化が大きく、解決すべき課題が山積みでした。自分たちの医療をどう継続していくか、何度も議論を重ね、「力を合わせて新しい環境で私たちの医療を発展させよう」と結束。4月1日の開院を迎えました。札幌病院に通院していた患者さんの約7割が中央病院への継続通院を希望し、一人ひとりの思いに向き合いながら移行を進めてきました。


安全・快適性が向上

中央病院に移ったことで、医療安全面が飛躍的に向上しました。ICU集中治療室の併設や他科との連携、迅速な輸血供給体制が整ったことで、出産や各種手術の際も万が一の急変時に即座に対応できる安心感があるといいます。

社会的ニーズだけでなく、国際的にも「女性の権利」と位置づけられている「無痛分娩」の環境整備にも力を入れる方針です。無痛分娩に関する情報提供を通じて、希望に応じた選択ができる環境をさらに充実することにしています。

産婦人科病棟は中央病院最上階の見晴らしが良いエリアに位置します。他科との混合病棟のためスペースや動線を工夫し、新生児室は常に見守りができるようスタッフの作業スペース内に設けました。


また、陣痛から分娩・回復まで移動なく過ごせるLDR対応の分娩室を備え、ご家族の立ち会いのもとリラックスして出産に臨めます。産後の病室も全室個室で、プライバシーを守る快適な環境を整えました。

*写真キャプション:LDR対応の分娩室*

2人目の出産を終えたお母さんは、「上の子も札幌病院でお世話になり安心でした。中央病院は広くて綺麗で気持ちがいいですね」と笑顔を見せました。


出産を生活再建のスタートに

最も大切にしているのは、社会的孤立や貧困、精神疾患など、複雑な悩みを抱えた妊婦さんへの包括的ケアです。西岡医師は、「出産はゴールではなく、子育てと生活再建のスタートです。困ったときにSOSを出せる関係性を築くことが重要です」と強調します。不安定な環境で育ち、パートナー不在や実親との関係不和などの問題を抱える妊婦さんも少なくありません。

最近も、生活基盤が不安定な10代のAさんと向き合いました。切迫早産による早期入院の期間を活用してじっくりと信頼関係を築き、院内カンファレンスでの情報を共有し、サポートできる親族を探しながら自宅環境を整えました。退院後も地域の保健センターへ引き継ぎ、継続して子育てを支える流れを築きました。

信頼と連携づくり

病棟で妊婦さんと向き合う助産師の嵯峨千紘さんは、心を開きにくい妊婦さんへの関わりについて、「特別な言葉がけを意識するのではなく、一人の人間として普通に接することを心がけています」と語ります。過去に周囲から傷つく言葉をかけられ、不安を抱えている方もいます。職員は心から出産することを祝福し、「いっしょに考えていきましょう」と寄り添います。

さらに、行政の保健センターや児童相談所、学校、訪問看護師などを招いた「多機関合同カンファレンス」も積極的に開催しています。「私たちが直接関われるのは妊娠中から産後1ヵ月まで。退院後も途切れのない支援をするため、地域支援ネットワークのハブになることが求められています」と嵯峨さんは話します。


新生児の命を守る 小児科が常駐

産科に欠かせないのが小児科との連携です。今回、1㎞先の「伏古10条クリニック」に小児科を開設。日中は小児科医が中央病院に常駐し、新生児のケアに即座に対応できる体制をとっています。小児科科長の川真田伸子医師は、「立ち上げ期でお互いに模索中ですが、助産師や看護師とともに新しいチームづくりを一歩ずつ進めています」と話します。


地域とともに生活再建を支える

経済的に困窮している妊婦には、生活保護や入院助産制度といった公的支援を案内しますが、自力では相談窓口へたどり着けない方も少なくありません。そうしたハードルを把握し、どのような支援が必要かを見極めることが不可欠です。

「出産の現場から生活再建に至る道筋を患者さんといっしょに作り上げることこそ、私たちに求められている役割です。多くの課題はありますが、長年築いてきた行政や医療機関、各団体との繋がりを活かして乗り越えていきたい」と西岡医師は話します。

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