現場から

コロナ禍の困窮事例

2020年10月23日

十勝・帯広病院 収入が途絶えた家族の事例

 6月のある日、帯広病院の野口貴弘さん(病棟担当事務)は、入院受け入れ担当の看護師さんから、「今日入院した鈴木浩子さん(仮名)が、経済的に困っているようなので相談に乗ってほしい」と連絡を受けました。
 70代の鈴木さんは息子さんと2人暮らし。がんが再発し、他の病院で入院治療をしていましたが、落ち着いたこともあり帯広病院に紹介されました。息子さんは、「医療費の支払いができなくて困っています。前の病院も分割払いにしてもらいましたが、その支払いもできていません」と率直に語り、「何とかなりませんか?」と不安そうにしています。
 鈴木さんは5月まで仕事をしていて、息子さんも友人の居酒屋を手伝い、借金を返済しながらなんとか生活していました。しかし、鈴木さんのがんが再発して仕事ができなくなり、息子さんもコロナの影響で居酒屋が休止に。ほぼ同時に収入が途絶えました。生活保護は事情があって申請を断念していました。
 そこで野口さんは、帯広病院の無料低額診療制度で全額免除の適用としました。そして、「失業により所得がなくなった」として、高齢者の医療の確保に関する法律第69条の一部負担金の減免制度を紹介。申請をすすめ、適用されました。次に、後期高齢者医療保険料と介護保険料の減免の申請をすすめ、これによって全額の免除を受けることができました。鈴木さんのお見舞いに通う息子さんは、「おかげさまで認められました。ありがとうございました」と感謝しています。
 野口さんはそのときの思いについて、「借金を抱えて困っている姿をみて、無低だけでなく経済的支援につながるあらゆる制度を検討し、病院の事務としてできるだけのことをしたいと思った」と話します。

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