ムーヴメント

受療権を守る討論集会 全国の経験学んだ

2017年6月8日

5月20~21日に東京で「受療権を守る討論集会」がおこなわれ、中央病院のソーシャルワーカー・羽貝美生さんが参加しました。報告を紹介します。

討論する参加者(撮影:全日本民医連)


事例の可視化が必要
 集会のはじめに論点提起がおこなわれました。無料低額診療制度(無低診)による成果が十分に明らかにされているとはいえず、行政の政策につなげられていないことが指摘されました。今後の課題として、全国の事業所で無低診の経験を集約・分析し、政策にむすびつけるとりくみが必要と強調されました。
 振り返ってみると、毎日患者さんの対応に追われて、一つひとつのケースをしっかり整理できていませんでした。患者さんとご家族のくらしを守りながら、事例を可視化して社会保障制度の改善にむすびつける必要があると思いました。


国保法44条を活用
 指定報告では、各地のとりくみが報告されました。
広島県からは、国保法44条(注)を積極的に活用してきたことが紹介されました。しかし、2013年の制度改悪後に申請数が減少しているといいます。利用者が減少すれば制度の必要性が低いと判断され、ますます改悪が進むことになりかねません。しっかりと制度を活用していく必要があると思いました。
 北海道からは、無低診の対象者を就学援助世帯に拡大しているとりくみや、苫小牧市や札幌市の就学援助決定通知書に無低診が利用できる病院名が記載されたことを報告。参加者から「画期的ですね」と感想が寄せられました。
 苫小牧市や旭川市では調剤薬局の薬代助成を実現しています。診療費より薬代の負担が大きい患者さんもいるので、札幌市も助成するよう働きかけていきたいと思いました。


制度の拡充を求める
 2日目の分散会ではグループに分かれ、各県連のとりくみや悩みなどを話し合いました。無低診利用者を他の社会保障制度につなげることが難しいケースや、オーバーステイ(不法滞在)の方が使える社会保障制度がなく、対応に苦慮しているケースなどがありました。地域性による特徴を知ることができ、全国の事業所のとりくみに刺激を受けました。
 全体を通して、「困った患者さん」で受け止めるのではなく、生活と労働の視点から患者さんを捉え、問題の背景にまで目を向けていく必要があると改めて感じました。また、無低診が社会保障の入口として役割を発揮することが求められる一方で、その社会保障が拡充しなれければ格差が広がるばかりなので、制度の拡充を求める働きかけが重要だと思いました。



(注)国保法44条…特別な理由があって医療機関に一部負担金を支払うことが困難な加入者(患者)に対して、保険者は「減額、免除、徴収を猶予する」措置をとることができる。

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