ムーヴメント

新たな時代を見据えて

2018年3月21日

医療と介護、地域をつなぐ

北海道民医連 全医師会議

医療と介護、地域をつなぐ

北海道民医連 全医師会議

2年目研修医が地域医療研修で学んだことをポスターでイキイキと報告しました。

 理事会を代表してあいさつした堺慎会長は、来月から始まる新専門医制度に触れて、大学病院などの大規模医療機関に研修医が集中することが懸念されるとして、「全道で医師養成にとりくみ、地域で社会保障を守り発展させよう」と議論を呼びかけました。


後継医師確保が課題
 道民医連副会長・医師部長の中野亮司医師は基調報告で、「地域医療構想」で厚労省から示された必要病床数などのデータは懐疑的に読み取る必要があるとのべ、「ベッドを減らすため、意図的に『医師の偏在』を論点にしている」と指摘しました。また、10年間の全医師会議を振り返り「後継医師の確保が将来を決定づける重要な課題」として、「全道の先進的なとりくみに学び、さまざまな立場の医師がそれぞれの考えを交流しましょう」と呼びかけました。


医師がめざす医師像
「7つ星」を確認
 「北海道民医連の医師がめざす医師像7つ星(通称=7つ星)」の案について、道民医連理事の臺野巧医師が説明しました。
 研修医がめざす医師像を示しながら「7つ星」作成の経緯を説明。①各研修プログラムにどう適用していくか、②評価方法の開発、振り返りの場の提供、③情勢の変化に応じて改訂していくことの3つを今後の課題として「7つ星」が確認されました。


地域包括ケアの
中核担う中央病院 
 全体会報告は、「中央病院の10年間の振り返りと今後について」と題して田村裕昭勤医協中央病院統括院長が講演しました。中央病院の地域医療活動について説明し、「急性期病院として、地域包括ケアでの役割を積極的に担う中核病院のひとつとなっている」と強調しました。
 田村医師は「安心して住み続けられるまちづくりに向けた行動を起こそう」と、地域の医師たちと話し合っていることを紹介し、「腹を割って議論するためには、顔の見える関係づくりが必須。地域をつなぐ架け橋となって行動することなしに地域医療の前進はない」と訴えました。また、行動する上で大切なこととして、「地域の中に入り、人の下請けを率先してやる、下積みの時代を経験して、はじめて話を聞いてもらえるようになる」と語りました。
 参加者から「中央病院と地域との関わりについて見えていない部分が多かったと気づいた」「中央病院の役割を全道の医師で共有することが大切だと思う」などの感想が寄せられました。


全道の経験を交流
 分散会では全道の13院所の先進的なとりくみが報告されました。
 苫小牧病院の伊賀勝康医師は、「ずっと外をうろうろしている近所の子どもに声をかけたら、虐待を受けていることが分かった」など、自身が経験したエピソードを交えながら、地域の状況や根深い子どもの貧困について話し「子ども食堂」のとりくみを紹介しました。
 また、「地域に在宅医療のニーズはあるが人手が不足している」として、地域の医師に連携を呼びかけ、バックベッド体制を構築しているとりくみを紹介し、「医師・看護師を確保しながら地域のつながりを増やしていきたい」と語りました。
 小樽診療所の濱野貴通所長は、気になる患者カンファレンスや多職種学習会などのとりくみを紹介。長年続いてきた地域からの信頼や多職種の結束力などの強みを生かしながら地域の人々の生活を支え、「『小樽全体の医療を支えている』といえるように力をつけたい」と目標を語り、そのためにも「診療所がそこにあり続けることが最も大切。新しい診療範囲の拡大や後継者教育に力を入れ、変わらないものを大切にして地域の変化に対応しながら、より良い地域をつくりたい」と、自身の目標を交えて診療所の5~10年後のビジョンを語りました。
 参加した医学生から「各院所のとりくみや特徴を知ることができてよかった」、ベテラン医師から「昔の勤医協は自己完結型という印象だったが、今はそういう時代ではない。各地の連携の実情が少し理解できた」と感想が寄せられました。
 3月10日、「2017年度北海道民医連 全医師会議」がおこなわれ、道民医連医師集団の課題や目標を確認するとともに、各地の医療・介護活動や地域連携などのとりくみを交流しました。また、2年目研修医が地域医療研修を報告しました。

医療医師・医学生イベント・集会