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「表皮水疱症」患者へ支援を

2019年3月14日

「表皮水疱症」患者へ支援を

 「国の責任で医療と介護の充実を求める実行委員会」が開催した第3回の公開学習会で宮本恵子さんが講演しました。宮本さんは、全国に1000人いると推定される病気の患者組織、表皮水疱症友の会DebRAJapanの代表理事です。表皮水疱症患者の苦悩や困難とともに、全国の仲間とともに国へ働きかけ、制度の改善を実現させるたたかいについて語りました。要旨を紹介します。


表皮水疱症とは
 表皮水疱症は皮膚難病の一つで、診断や治療ができるのは全国で数ヵ所の大学病院だけです。
 皮膚組織は、表皮、真皮、皮下組織の3層からなっています。それぞれの層を接着させているのが「タンパク遺伝子」と呼ばれる組織で、表皮水疱症はこの組織が失われる病気です。寝返りなど、ほんのわずかな刺激でも水疱ができ、皮膚に治す能力がないためどんどん膨らんで広がります。
 皮膚がむけるとビラン状態になり、さらに進行して重症化すると手足の指の癒着や皮膚がんが起こり、痛みで歩けなくなるほど過酷な病気です。食事をとるにもさまざまな困難があり、低栄養状態にもなります。
 毎日数時間をかけて洗浄し、ガーゼ交換が必要になります。ガーゼを剥がすときに皮膚が肉ごとはがれるので耐え切れないほどの痛みをともないます。

患者会の立ち上げ
 札幌で生まれ育った私は皮膚が少し弱い子でしたが普通に育ち、就職、結婚もしました。しかし、44歳のときに突然、皮膚がんになりました。痛みが半年も続いた後に病院にいきましたが診断がつかず、いくつもの病院を渡り歩きました。最終的には北大病院で専門医の清水宏先生に出会い、手術を受け、表皮水疱症の確定診断を受けました。
 この出会いが私の人生を変えました。清水先生から声をかけられ、2007年に「表皮水疱症友の会」を立ち上げました。ホームページを作成し、ニュージーランドから来日した表皮水疱症の患者さんを招いて札幌で初めての全国交流会を開いたのです。この交流会をきっかけに国際支援組織DEBRAに加盟しました。現在の会員数は198人で、定期的に交流会や学習会を開くなどの活動をしています。


「診療報酬」で認めさせる運動
 患者会を立ち上げた当時、私はガーゼや包帯代として月に20万円も自費で購入していました。どの人もガーゼ代の自己負担は深刻でした。すでにその時期、諸外国では国から支給されていたことを知り、私たちは日本でも認めてもらおうと2008年6月から署名運動をはじめました。マスコミにもとりあげられ、全国から多くの署名が寄せられました。
 署名をもって厚生労働省へ交渉に行ったのですが、「ガーゼは一般に使われているものなので、保険給付はできない」「あり得ない」と断られました。私たちは患者の深刻な経済負担の実態や、諸外国にある痛みをともなわない特殊なガーゼの必要性を訴え続けました。そして、わずか1年経たずに48万近い署名の勢いと世論の後押しを受け、厚生労働省は2010年の診療報酬改定で、「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料」という画期的な新制度を施行し、特定保険医療材料として、いわゆる特殊なガーゼ「創傷被覆材」の在宅支給が認められました。声をあげて社会に訴える運動の大切さを確信することができました。


患者の人権を守る
 この病気についてしっかりと診断・治療できる皮膚科の医師が、日本ではあまりにも少なすぎます。先生方、そして日本社会全体にこの病気のことを正しく知ってもらうことが私たちの役割だと思います。身体障害の対象にはなっていないため、入園や入学、働くにしても社会生活を送るうえでさまざまな困難を抱えています。身体障害として皮膚疾患の機能項目を認めてもらうことが次の目標のひとつです。
 この病気を持った誰もが、ひたすら我慢するのではなく、自尊心をもって生きられる社会、基本的人権が守られる社会であってほしいと思います。

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