ムーヴメント

誤嚥を防ぐために

2019年4月11日

民医連道東ブロック学術運動交流集会 

民医連道東ブロック学術運動交流集会 

嚥下内視鏡を実演する福村医師

 民医連道東ブロックは3月23日に「学術運動交流集会」を開催し、職員や地域の医療・介護関係者170人以上が参加。各職場から39演題が発表され、多職種・地域連携、在宅支援など、医療・介護活動や研究内容を交流しました。また、長野民医連の健和会病院・健和会総合リハビリテーションセンター長の福村直毅さんが「嚥下治療の革新とそこから見えた窒息の真実」と題して講演しました。
 福村さんは嚥下障害について、誤嚥性肺炎や「食べられない=もう助からない」と診断されて亡くなる人もいる中、適切な嚥下治療によって飲み込む力が回復し、劇的に改善できることを事例を交えて紹介。職員をモデルに嚥下内視鏡を実演し、嚥下のしくみを解説しました。
 誤嚥を防ぐための食事の姿勢として、2007年に考案した横向きに寝て食べる「完全側臥位法(かんぜんそくがいほう)」の意義や方法について、声門から離れている喉の側面に食べ物をためておけるため誤嚥を防ぐことができると説明。鶴岡協立リハビリテーション病院在籍時に嚥下治療を地域に普及した結果、肺炎死亡率を3年間で2割削減できたとのべ、完全側臥位法を各地に広げるよう呼びかけました。
 さらに、自ら証言に立った「あずみの里裁判」にふれ、窒息の原因となる異物には、①気道の断面を充満させる量と大きさ、②起伏に沿う変形態、③異物を排除する咳などの運動に抗する付着性や弾力などの性質が必要なことをあげ、「ドーナツでは誤嚥や喉づまりは起こすが窒息はしない」と指摘。「窒息と診断するのは確定的な場合に限るべきで、推定段階の事故を診断名にすることは避けるべきだ」と強調しました。
 参加者から、「嚥下のしくみがよく分かった」「完全側臥位法をやってみたい利用者がおり、話を聞け良かった」などの感想が寄せられました。(田中博修・道東勤医協事務局)

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