ムーヴメント

札幌市が福祉避難所名を公表

2019年10月10日

北海道難病センターが福祉避難所に
働きかけで大きな前進

北海道難病センターが福祉避難所に
働きかけで大きな前進

北海道難病連代表理事
増田靖子さんに聞く

 胆振東部地震から1年、札幌市は福祉避難所名を公表することを決めました。難病患者や障害者に朗報です。北海道難病連の増田靖子代表理事に聞きました。


 昨年9月6日の地震とブラックアウトで、私たちは本当に悔しい思いをしました。難病センターが停電になり断水したため避難所としては使えず、3人に避難所へ行っていただくことにしました。札幌市に福祉避難所を問い合わせましたが、教えてくれず、近くの小学校に避難しました。オストメイト(人工肛門・人工膀胱を造設した人)もいたので、本来であれば福祉避難所に避難する対象ですが、旅行客や一般の方々と同じ避難所で過ごしました。
 難病センターには全道各地の難病患者から「どこに避難すればよいのか」「難病センターに避難させてほしい」という電話が鳴りやまない状況が続きましたが、「とりあえず一般の避難所に行ってください」としか言えませんでした。

要請が認められ実現
 私たちは札幌市に、「福祉避難所名を公表してほしい」「難病センターを福祉避難所と認めてほしい」と要請しましたが、「避難者が殺到するおそれがある」と断られました。難病や障害者が地震の後、どんなに不安で辛い思いをしながら過ごしたか、私たちはその思いに応えることができず、何度も涙しました。
 この1年間、私たちは国や北海道、札幌市に働きかけてきました。多くの人々に訴えるとともに、マスコミにも取り上げてもらいました。その結果、願いがかなったのです。
 難病センターの建物を所有する北海道は、非常時に電気と水道を使えるようにし、簡易トイレ、布団、ベッドも用意するなどの整備をすすめています。これにより難病センターは、災害時に最大50人の難病患者や障害者の受け入れができる施設になります。
 そして、この9月に札幌市は「福祉避難所名」を公表したのです(市のホームページに掲載)。私たち難病連だけでなく、他にも多くの声があったからではないでしょうか。その一助になることができて本当にうれしいです。

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