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部屋も懐も寒い

2025年1月24日

冬季高齢者生活実態調査を実施中

冬季高齢者生活実態調査を実施中

2016年に1リットル60円台前半だった灯油価格は現在120円を超え、物価高騰により暮らしを直撃しています。北海道民医連はこの冬も「冬季高齢者生活実態調査」を実施。気になる患者や低所得の方を職員が訪ねて実態を調べ、切実な思いを聞いています。(佐藤実千子・県連事務局)


 札幌市西区で一人暮らしをしている沢村葉子さん(82歳・仮名)は、築42年になる古い木造アパートの2階に住んでいます。

 昨年秋から沢村さんを担当している西在宅総合センター・ケアマネジャーの廣瀬みづほさんが1月17日に訪問すると、沢村さんは階段の雪かきをして来訪に備えていました。身寄りのない沢村さんはデイサービスを週2回、訪問介護による買い物同行サービスを週1回利用しています。そのたびに外出しますが、鉄製の外階段にはいつも雪が積もり、無事に階段を下りてもその先にも急な傾斜があるため、冬の外出は至難の業。手すりにつかまりながら、慎重にのぼり降りします。

 沢村さんは、「いつも雪かきをしてくれた人がいたんだけど、入院しちゃってね…」と言いながら部屋に招き入れました。

 室温は12度。室内でも上着が手放せません。薄いカーペットの床は冷たく、厚手の靴下を履いていても足もとがひんやりします。1台の小さなガスストーブの設定温度を最大にしていますが、部屋は暖かくなりません。 少しでもガス代を節約しようと、極寒の室内で耐え忍んでいます。「それでも最近、やっとストーブを新調したんです。12月のガス料金は1万2000円くらい。体がちょっとでも温まったらすぐに消して節約しています」と沢村さん。

 外出するときはストーブを消しますが、1階の住人がいないため水道管が凍ってしまうのではないかと心配しています。冷気を防ごうと、陽の当たらない北向きの大きな窓にカーテンを閉めていますが、カーテンの長さが足りず、下の隙間から外の寒さが伝わってきます。

 生活保護を利用している沢村さんにとって物価高騰は切実です。肉のかわりにツナ缶を買い、めんつゆをサラダのドレッシングがわりにするなどコツコツと節約しています。

 「デイから帰ってくるとまだ体がポカポカしているんですよ」という沢村さん。訪問した廣瀬さんは、「デイを終えてから寒い部屋に帰らなければならないなんて、言葉もありません。このままでは低体温症になってしまうかもしれません。とにかく窓からの冷気を防ぎたいですね」と話します。

 西在宅総合センターに戻った廣瀬さんは、沢村さんの状況を報告。さっそく窓用の防寒シートを百均で購入しようかと話し合っています。

 今回の調査結果は集計して記者発表をおこない、福祉灯油や福祉除雪などの助成を行政に求めることにしています。

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