ムーヴメント

証拠調べも審理もせず結審

2020年2月13日

特養ホームあずみの里控訴審第1回公判
初日で裁判打ち切りの暴挙
公判後の報告集会で怒りの声

特養ホームあずみの里控訴審第1回公判
初日で裁判打ち切りの暴挙
公判後の報告集会で怒りの声

 1月30日、特別養護老人ホームあずみの里控訴審第1回公判がおこなわれ、東京高裁で弁護側は「死因は脳梗塞と考えられる」として16の証拠を提出し医学鑑定を求めましたが、裁判長は却下し即日結審しました。支援に参加した老健柏ヶ丘・相馬直美さんの報告を紹介しま



 公判当日、東京高等裁判所に傍聴希望者や支援者400人が集まり、一般傍聴席を求めて長蛇の列になっていました。私は残念ながら傍聴できませんでした。
 公判終了後におこなわれた「控訴審報告集会」には300人を超える人が参加。冒頭、木嶋日出男弁護団長は、Kさんの嚥下機能に問題がなかったことをあらためて指摘。公判では、Kさんが亡くなった原因がドーナツの誤嚥による窒息か否かを医学的に鑑定し、証拠を調べるよう要求したが、裁判官はすべて却下。裁判が終わり、追って判決を言い渡す形となってしまったことを報告しました。
 日本医労連の米沢哲書記長は、「裁判官は反論もさせず、何も受け付けないという態度だった。業務中に配ったおやつで窒息したと決めつける裁判に恐怖を感じた。公判では『無罪』を求めているのではなく、『公正に裁判してほしい』と要求している。死亡理由を医学的な観点で改めて調べてほしいのに、聞き入れない裁判官の姿勢は、山口けさえさんの人生はもちろん、亡くなった方に対しての冒涜だ」と怒りを込めました。
 日本赤十字看護大学名誉教授の川島みどりさんは、「介護現場は人材不足の中、リスクを想定しながら事故防止の努力をしているが、それでも予期せぬ急変はあり得る。今回の事故もたまたまドーナツを食べていた時の急変を、裁判にかけた。それ事態が不当で、はらわたが煮えくり返る思いだ」と指摘。「あったことをなかったことにする政治がまかり通っているが、裁判所も同じことをするのはおかしい」と批判しました。
 集会参加者は「今回の裁判は日本の介護の未来がかかかっている。この判決をゆるしてはいけない」と確認し合いました。
 私も介護の現場で働く看護師として他人ごとではないと実感し、審理を拒否した裁判によって山口さんと、同じ現場で働いていた職員が、事実が明らかにならないまま一生背負って生きていく辛さを思うと涙が止まりませんでした。現場で同じような事故が起きないように努力しても起こりえます。刑事事件として扱われることが不当だとあらためて実感しています。
 介護の未来のために、これからも自分のできることから行動し、たたかっていきたいと思います。

介護ムーヴメントイベント・集会