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辛い体験 自分の言葉で

2020年2月13日

勤医協札幌西区病院を会場に報告集会

勤医協札幌西区病院を会場に報告集会

左から、高校生の蛭田さん、石井さん。アースウォーカーズの小玉さん

 勤医協札幌西区病院で2月9日、福島県出身の高校生2人が東日本大震災と原発事故で体験したことや、再生可能エネルギーについて学ぶためにドイツを訪問したことを報告。職員など約70人が参加しました。


 活動報告会を主催したNPO法人アースウォーカーズは、世界中をまわりながら環境問題や戦争と平和について学び、活動を広げています。そのひとつが、福島第一原発事故で被災した高校生を「脱原発」へとシフトしたドイツに派遣し、再生可能エネルギーの将来性を学び、ドイツの高校生たちと交流する企画です。2019年8月には9人の高校生が参加しました。
 活動報告会には、福島県郡山市の高校に通う郡山市出身の石井聖真さん(2年生)、江別市の高校に通う福島市出身の蛭田里桜さん(1年生)が参加しました。
 アースウォーカーズ代表の小玉直也さんは、「東日本大震災と原発事故後、被災地支援や小さな子どもたちの保養活動にとりくむうちに、中学生や高校生を対象に何かできないかとの声があがり、高校生の国際交流プロジェクトを立ち上げた」と、とりくみの経緯を説明しました。
 2週間の行程で、ドイツのケルン大聖堂などを見学し、ホロコースト記念館やベルリンの壁跡でドイツの歴史を学習。デュッセルドルフ市役所では再生エネルギー施設を見学しました。8月6日にベルリンでおこなわれた「広島原爆投下記念日平和の鐘式典」に参加しました。ベルリンの高校では地元の高校生と交流しました。高校生たちは各地で震災体験を英語でスピーチしました。

話すことが怖かった
 報告集会ではビデオが上映されました。その中で、原発から10キロ離れた浪江町の家を出て避難生活をした戸川華恵さんは、「賠償金をもらっているとか、放射能を持ち込んでいるとか、ひどい言葉をぶつけられた。仲の良かった友達が、ロッカーに『死ね』と書いた」と話します。
 蛭田さんは、「自分が一番辛い思いをしてきたと思っていたが、何倍も大変な思いをしている人がいることを知った。震災体験を話すことがとても怖かったけれど、話すことの大切さを学んだ」と語りました。石井さんは、「震災後はプレハブの校舎で学び、グランドで運動会ができなくなった。体を動かしたくて外を走り回ると親にひどくしかられた」と話します。
 小玉さんは、「ドイツで高校生たちが自らの言葉で話すことで笑顔が増え、2週間で大きく成長した」と話し、「ドイツは『原発ゼロ』を宣言し、再生可能エネルギーに大きく舵を切った。日本も転換するべきだ」と強調しました。
 最後に2人は「今後も私たちの体験を話していきたい。特に同世代に話したい」とのべました。(大須賀峰敏・県連事務局)

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