ムーヴメント

政府は再編統合リストの撤回を

2020年2月13日

全道学習会ひらく

全道学習会ひらく

 国の責任で医療と介護の充実を求める北海道集会実行委員会は2月3日、昨年、厚労省が再編統合の対象として全国424の病院を公表した問題について学習会をおこない、全道各地から70人が参加しました。
 「公的病院病床再編・統合で日本はどうなる」と題して学習講演した鎌倉幸孝日本医労連中央執行副委員長は、国がすすめている医療費抑制政策の中で、「団塊の世代」が後期高齢者になる2025年の医療費削減をすすめるために地域医療構想が出されてきたとのべました。
 医療費抑制のしくみとして、①地域医療構想、病床機能報告制度、地域医療計画を一体としてベッド削減をすすめる、②公的病院の再編統合をすすめ、地域での公的医療を縮小する、③医師の偏在対策と新専門医制度による医師数の抑制、④医療費適正化計画と国保の都道府県化、を打ち出してきたと説明しました。
 病床規制の根拠となる医療需要についてはレセプト(診療報酬明細書)データが使われているが、レセプトは診療の結果であって住民の医療ニーズを反映したものではないため、「将来のあるべき医療の姿」などの国の説明は「全くのでたらめ」と批判しました。


公的病院統廃合は「まち壊し」


 公的病院、病床の統廃合について、「画一的で地域ごとの実情を一切無視した内容に全国各地から怒りの声が噴き出している。公表された424病院の7割が地方の中小病院であり、政府がいう地域創生とは全く逆の『まち壊し』につながる」と指摘しました。
 また、医師不足は深刻なため、政府は「医師の働き方改革」で医師の時間外労働の上限が過労死基準を超過していることを指摘。「医労連の独自の計算では、医師が過労死ラインを超えないためには2万人の医師が、全ての勤務医が法定労働時間を守るためには9万人の医師が必要」という指摘に、会場からどよめきが起きました。
 医療費適正化について鎌倉氏は、「高齢大国である日本の医療費は先進国と比べても高くなく、むしろ効率の良い医療提供体制にある」と国の施策を批判。「地域の医療を守るためには、まず厚労省に公的病院の再編統合リストを撤回させること。そのために、自治体や公的病院との懇談や集会をもち、地域から反対の意見を広げましょう」と訴えました。


全道から報告


 北海道の現状について北海道社会保障推進協議会の沢野天事務局長は、「すでに多くの地域で医療体制は崩壊寸前だが、今回の公的病院再編統合はさらに危機を深める」と指摘。この間、道内26市町村から公的病院再編統合に反対する国への意見書が出されていることにふれ、さらに多くの自治体が声を上げるよう働きかけることを呼びかけました。
 道北勤医協の神長まゆみさんは、市立旭川病院が統廃合で名指しされてから医師や看護師の退職が増えていること、旭川市長が「困難はあるが市立病院を守りたい」と表明していることを紹介。また、宗谷地域の医療を守るとりくみについて報告しました。
 北海道医労連の田村優実さんは、自治体キャラバンで訪問した日高圏域の地域医療の状況について報告しました。
 北海道難病連の増田靖子理事長は、文書発言で、「札幌市以外に住む難病患者の4人に1人が専門医と連携する公的病院に普段から受診している、公的病院は健康と命を支える大切な財産」とのべました。(木幡秀男・県連事務局)

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