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厳しい冬の生活に耐え 春を待つ高齢者たち

2020年2月27日

2020年1月冬季高齢者生活実態調査の結果から

 北海道民医連が毎年とりくんでいる冬季高齢者生活実態調査。12回目の今回は年明けから開始し、約1ヵ月間で低所得者を中心に176人の患者・利用者を訪問しました。その結果を報告します。



 自公政権は、社会保険の保険料や自己負担の引き上げ、年金支給額の引き下げをおこない、昨年10月から消費税を10%に増税しました。また、一昨年10月に生活保護費を削減しました。さらに追い打ちをかけるように、昨年から灯油価格の高止まりが続いています。
 調査結果から浮かび上がってきたのは、収入が減り続ける中で厳しい冬の生活に耐え春を待つ高齢者の姿でした。


176人の特徴は


 調査した176人のうち、80歳以上が45%で、最高齢は100歳。独居が57%。住まい別ではアパート49人(27・8%)、公営住宅38人(21・6%)、マンション11人(6・3%)、戸建て73人(41・5%)となっています。
 70歳以上の医療費の自己負担限度額の所得段階区分(*)にあてはめると、生活保護64人(36・4%)、低所得Ⅰが19人(10・8%)、低所得Ⅱは54人(30・7%)、一般12人(6・3%)、現役並み11人(6・3%)、不明16人(9・1%)という結果になりました。


暖房費節約のために


 【表①】は、訪問時の室温が極端に低い、または暖房時間が短い方の人数です。収入が少ないほど部屋の温度を低く抑え、できるだけ暖房をつけないようにしています。「朝晩のみポータブルストーブをつけ、寒い日でも日中は消して布団に入り過ごすようにして1日4時間しか暖房を点けない」「室温2℃の寝室で寝ていて、ベッドの足元に霜がついていた」「冬が越せるか心配」などの声が寄せられました。

保護費削減の影響
 生活保護利用者には暖房料や冬物用品の購入費用として、10月から4月まで「冬季加算」が支給されています。金額は北海道一律で、単身が1万2540円、2人世帯1万7800円、3人世帯2万230円。
 冬季加算が「足りている」と答えたのは22人、「不足している」と答えたのは29人。不足額が1万円以内と答えたのは16人でした。住居別では、アパートや戸建ての方が不足していると答えています【表②】。2013年に生活扶助基準、15年に冬季加算が引き下げられた影響が出ています。
 疾患によっては室温を下げると悪化する場合もあります。暖房費を削ることができない方は、食費や生活費を削っているという回答もありました。


 調査では、「携帯電話も固定電話も持たず、生活費を削って暖房費にあてている」「ここ10年、着るものを買っていない」「夫が介護保険の利用を減らして灯油代にあてると言う。私はサービスを利用しないとダメだと言って夫婦喧嘩になる」などの声が寄せられました。


故障してもストーブ買えない生活保護


 今の生活保護制度では、ストーブの購入に保護費が出るのは新規に生活保護になる場合と、退院や転居時にストーブがない場合、災害で失った場合に限られます。通常使用して故障した場合は生活費を削り、貯金して買うしかありません。「ポータブルストーブを2つ使用して空気が悪い。煙突つきストーブが欲しいが、余裕がなくて買えない」という声も報告されています。せめて2013年以前の生活保護基準に戻さなければ、保護利用者には死活問題です。


福祉灯油制度が必要


 今回調べた15自治体の中で「福祉灯油制度」を実施しているのは、苫小牧市、帯広市、稚内市、当別町のみ。その中で制度の利用者は、苫小牧市2人と稚内市の1人だけでした。
 また、実施していない自治体に居住する方へ、「福祉灯油制度は必要と思うか」との問いに「必要」と答えたのは154人中111人にものぼっています。福祉灯油の充実を求める声は切実です。調査から多くの問題が浮かびあがりました。制度改善に結びつけるとりくみをすすめましょう。


* 所得段階区分(1人の場合)
低所得Ⅰ 年収80万円以下、
低所得Ⅱ 年収155万円以下
一般 低所得Ⅱより収入が多く
   現役並みより少ない
現役並み 標準報酬月額28万円以上

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