ムーヴメント

「ハコ物」で隠す 核のゴミ捨て場

2020年3月12日

原発事故から9年 福島の今をレポート
浜通り医療生協 組織部 工藤 史雄さん

楢葉町に建設されたアリーナ


 東日本大震災、福島第一原発事故から9年が経ちました。福島の現状と課題について、浜通り医療生協・組織部の工藤史雄さんが報告します。

 東電は、福島第二原発の廃炉を決定しました。事故を起こした第一原発の廃炉は既に決まっていましたが、第二原発も「これがある限り安心して生活できない」と、2014年に県議会と県内すべての59市町村議会が廃炉決議をあげました。国と東電は責任を回避し続けましたが、「廃炉」を明言させたことは大きな成果です。


福島が核のゴミ捨て場に


 しかし、大きな問題があります。廃炉にともなって出てくる使用済みと未使用、合わせて1万本の核燃料棒を保管する施設を、第二原発の敷地につくるというのです。「一時保管所」のはずが「最終処分場」となることが危惧されます。この施設は、廃炉によって減収になる固定資産税などを補うものとして立地町に働きかけています。巨大資本や公共事業に群がって原発を呼び込み、還るべきふるさとを失った過ちと同じ道を歩んでいるようです。
 一方、大量の除染廃棄物が粛々と中間貯蔵施設に移送されています。大熊町と双葉町の国道6号線から海側は、全て中間貯蔵施設の用地となってしまいました。


建設される「箱モノ」


 福島県の浜通り地方には「イノベーションコースト構想」の名のもとに莫大な予算が注ぎ込まれています。最先端産業を誘致し、巨大な「箱モノ」が次々と建設されています。楢葉総合運動公園には温水プール付きのフィットネスジムがオープンし、Jヴィレッジには臨時駅まで設けられました。これらの維持費が町の財政を圧迫するのは目に見えています。次々に施設をつくり、その維持のために補助金をあてにして新たな原発を…と、そんな罠にのまれていく姿が目に浮かびます。


「復興」をアピール


 福島県は米と牛肉を全量・全頭検査していましたが、抽出検査に切り替えました。また、「数値が見えることで不安をあおる」として、県内に3000基あるモニタリングポストを600基まで減らそうとしています。東京五輪の聖火リレーが福島からスタートすることや、常磐線全線開通が話題になっています。いずれも「元気な福島」をアピールするために。
 しかし、復興アピールが叫ばれるほど、そこに乗れない「取り残され感」がつのります。賠償金が打ち切られ、避難指示解除にともなって避難者のカウントからも外され、故郷にも帰れず、避難先のコミュニティにもとけこめない。そんな人たちが、実はたくさんいるのです。
 「福島のいま」を知ることは「福島を忘れない」こと、そして原発ゼロにつながります。二度と私たちのような苦しみを味わう人がないようにと願いを込めて。

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