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高齢者を襲う暖房と食の欠乏

2026年5月22日

「冬季生活実態調査」が浮き彫りにする危機

「冬季生活実態調査」が浮き彫りにする危機



### 調査の概要

北海道民医連は、低所得高齢者の過酷な冬の生活実態を明らかにし、制度改善につなげようと「2025年度冬季高齢者実態調査」を実施。今年1月15日~2月12日にかけて訪問や聞き取りを行い、190件の回答が得られました。地域で暮らす高齢者の危機について報告します。


調査対象は、生活保護世帯や低所得世帯の65歳以上の高齢者。回答者の6割が女性、4割が男性で、要介護認定を受けている独居高齢者も多数含まれています。調査方法として、職員による訪問(126件)が中心となっており、「すきま風が入る老朽化した住宅」「壊れそうな床」といった居住環境を確認しています。


### いのちを脅かす寒さ

北海道での暖房は、生命維持に不可欠なインフラです。しかし、その利用を制限せざるを得ない実態があります。調査の結果、暖房時間を制限している世帯は63%。心疾患等のリスクが高まるとされる室温18℃を下回っていた世帯は26%で、中には室温7℃という極限状態のケースも報告されています。
経済的な理由から灯油代を捻出できなかったり、故障したストーブを修理できずに使用できていない方も。これらの世帯では、布団やコタツの中で過ごすことで、虚弱(フレイル)の悪化が強く懸念される状況にあります。


### 「食べること」と「受診」を断念

食費の節約も限界を超えています。「肉や果物が買えない」「食事を1日2食にしている」といった声が相次ぎ、「年末年始を138円で過ごした」という衝撃的な事例も。中には、自身の栄養不足を自覚しながらも、通院費や食費を削り、爪がもろくなっている高齢者の姿も報告されています。
さらに深刻なのは、経済的困窮が直接的に介護サービスや医療の利用控えにつながっている点です。生活保護世帯や低所得世帯において、通所介護の食費が払えず、サービス利用を中止・休止する事例が発生しています。これは高齢者の社会的な孤立を深め、心身の機能低下を加速させる重大な課題です。


### 制度の不備と求められる支援

調査結果からは、現在の公的扶助が物価高騰に追いついていない実態が明らかになりました。生活保護基準の引き下げや物価上昇率を下回る年金改定により、多くの高齢者が「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることが困難になっています。特に、冷蔵庫やストーブなどの家電が故障した際の一時扶助が認められないケースが多く、職員から古着をもらって冬を凌ぐなど、高齢者の尊厳が脅かされている実態があります。また、83件が除雪に困っていると回答し、自力での除排雪による事故や、高額な福祉除雪費用の負担が重くのしかかっています。


### 国や自治体に提言へ

私たち医療・介護従事者は、目の前の患者や利用者が、診察室や事業所の外でどのような冬を過ごしているのかに、これまで以上に想像力を働かせる必要があります。「予約日に来ない」「体調が急激に悪化した」その背景に、暖房費の節約や食費の欠乏がある可能性を疑わなければなりません。
北海道民医連は調査結果をもとに、福祉灯油の拡充や生活保護基準の引き上げ、高額療養費の負担増中止などを国や自治体に求めていく方針です。

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