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顔が見える関係づくり 地域医療を守る集会ひらく

2017年6月8日

顔がみえる関係づくり
地域医療を守る集会ひらく

 札幌市内で5月28日、北海道民医連が加入している「地域医療と公立病院を守る北海道連絡会」が主催する「地域医療を守る集会」が開かれ、60人が参加。深刻な地域医療の現状について、宗谷地域、根室地域、遠紋地域から発言がありました。

 主催者を代表して基調報告した道民医連の太田美季事務局長は、「2025年での病床数を21の二次医療圏域ごとに決める地域医療構想は地域の実情がまったく考慮されていない」と指摘。ベッド削減ありきでは地域医療の崩壊につながると批判し、全道で地域医療を守る運動をさらに展開するよう呼びかけました。

医療の縮小化に不安
 根室市の医療の状況について報告した小畑昌彦さん(根室市労連前副委員長)は、根室圏はベッド数や医師数で全国平均を大きく下回っているのに、さらに削減される計画があることを紹介。「地域医療の縮小は許されない」と訴えました。
 遠軽町議の岩澤武征さんは遠紋地域の状況について、圏域内に脳疾患や心疾患に対応できる病院がないことや、丸瀬布厚生病院が突然無床診療所化の方針を打ち出し、住民の不安が高まっていることなどを報告しました。

「医療はまちづくり」
 宗谷の報告に共感
「地域医療」を柱に地域づくりを進めている稚内市役所のまちづくり政策部地方創生課医療対策グループ主査・山川奈緒さんの発言に注目が集まりました。要旨を紹介します。

 稚内市の人口は3万5千人を切り、減少は止まりません。医師不足も深刻です。
 北海道を21の地域に分けた「2次医療圏域」でみると、稚内市が含まれる宗谷圏域は利尻・礼文島の離島を含めた1市8町1村で構成され、二次医療機関は市立稚内病院が唯一です。 二次医療圏域ごとの人口10万人当たりの医師数は、北海道で一番医師数の多い「上川中部」(320・5人)と比較して3割、全道平均(230・2人)と比較しても4割で、21圏域の中で最低です。
 市立病院の医師は2003年には41人いましたが、2015年は30人になり、複数の科が休診・廃止されました。市内の開業医も11軒から7軒に減少し、市民の間には医療機関に対する不満がひろがり、医師は過重労働の疲弊感で展望を失いつつありました。このままでは地域医療は守れないと考えた市は、市民もいっしょに医療を守ろうと呼びかけて、一昨年10月「地域医療を考える稚内市民会議」を設立しました。
 市民会議は、稚内市、町内会の協議会や社会福祉協議会、医師会、病院など19の団体で構成されています。事務局は、稚内市と勤医協宗谷友の会です。活動の柱は、「開業医を誘致する」「勤務医を誘致する」「未来の医療従事者を育成する」。最も重視したことは、「市民ぐるみで医療を守るとりくみ」です。

「雰囲気が変わった」
 昨年6月から市立病院の先生に「ありがとう」の気持ちをメッセージカードにして送るとりくみを始めています。本当に画期的なことでした。このメッセージを1冊にまとめて、小学校4年生の男の子から市立稚内病院の國枝保幸院長へ手渡しました。以前は「待ち時間が長い」などの不満や苦情も多かったのですが、「待合ロビーの雰囲気も変わった」との声が聞かれるようになりました。これは嬉しい変化です。
 また、町内会や老人クラブなどを訪問して「出前講座」をしています。医師の労働を紹介し、市民が病院を守るために何ができるかを話しあっています。市民一人ひとりの意識の変化が、地域医療を守ることにつながると確信しています。
 また、市立病院や宗谷医院に来た研修医を招いて懇親会を開きました。顔が見える関係づくりの大切さを実感しています。
 稚内市は、平成18年に開業医誘致条例を制定し、土地の購入費や建物の建築費にかかる費用、医療機器などのリース代に対し助成します。市立稚内病院は、今年34人の常勤医師体制になりました。増えたのは研修医です。地域医療を守るとりくみの大事な成果です。
 ふつう自治体で医療を担当するのは保健福祉課のような部署ですが、稚内市は医療はまちづくりと考え、「まちづくり政策部地方創生課」が所管しています。地域づくり、人づくり、健康づくりを一体のものとして「まちづくり」ととらえ、その柱のひとつが医療だという考えです。私たちが考える地域医療を守るとりくみは、「1人が100歩よりも、100人の市民が1歩」を踏み出すことだと思っています。


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