ムーヴメント

あたり前の介護を守った

2020年8月28日

「あずみの里裁判」無罪確定

東京高裁第二回公判後に無罪判決を報告する弁護団

 2013年12月、特別養護老人ホームあずみの里で、おやつのドーナツを食べた85歳の女性が心肺停止状態になり、約1ヵ月後に亡くなりました。検察は「業務上過失致死事件」として、食事介助にあたっていた准看護師の山口けさえさんに刑事責任を問い、在宅起訴しました。
 昨年3月におこなわれた第一審で長野地裁松本支部は有罪判決を下しました。弁護側はただちに控訴。7月28日に東京高等裁判所でおこなわれた第二審で裁判長は、弁護側の主張を全面的に受け入れ、山口さんの過失を否定。「無罪判決」を出しました。


弁護団も判決を評価


 今回の判決で裁判長は、「おやつや食事は、人の健康や身体活動を維持するためだけでなく、精神的な満足感や安らぎを得るために有用かつ重要」と、介護施設のあり方にも言及。弁護団は、「高裁判決とその確定が、我が国の今後の介護の現場において高齢者・利用者の希望に沿ったきめ細やかな介護がすすめられる契機となることを願うものです」と、判決の見識を高く評価しています。
 8月11日に東京高等検察庁は「適法な上告理由が見当たらない」と、上告断念を発表。山口さんの無罪が確定しました。


支援が大きな力に


 2014年12月に不当に起訴されてから6年間、弁護団は「介護の未来がかかった裁判」としてたたかいました。全国から73万筆もの無罪要請署名と4500を超える団体署名が寄せられ、弁護団は「無罪判決とその確定の大きな力になった」と声明を出しています。
 北海道民医連では昨年7月に弁護団の山崎泰正弁護士を招いて学習会を開催。老人保健施設柏ヶ丘では、職員が長野県での報告会に参加し、その後、檄布を作成・送付するなど早くからとりくんできました。かりぷ・あつべつは地域の介護施設をまわって署名を依頼しています。北海道勤医協看護部会では、北海道看護協会にも支援協力を求める働きかけをおこないました。
 「介護に笑顔を!」北海道連絡会は、道内60床以上のベッドがある特養老人ホーム176施設に署名を依頼し、1600筆を超える署名が返送されました。ある特養ホームの施設長からは、「諸事情により署名活動が禁止されていますが、本当は署名したい。控訴審ではどうか無罪を勝ちとっていただきたいと思います」と激励の手紙が寄られるなど、とりくみが大きく広がりました。


「より良い介護を」


 北海道勤医協老人保健施設柏ヶ丘の白浜タエ子看護主任は「無罪という結果に心から良かったと思いました。一方、6年という貴重な時間を奪われたご本人の強い憤り、悔しさを考えると複雑な気持ちです。犯罪者にされ、相当な誹謗中傷があったと思います。起訴されたことは本当に許せませんが、この裁判であたり前の介護が守られたと思います」と、長い試練をたたかい抜いた山口さんに心を寄せ、「今後も利用者さんの生活を豊かでより良くするために働いていきたい」と決意を語りました。

現場ムーヴメント介護