ムーヴメント

コロナ禍の影響を調査

2020年9月25日

道東・ねむろグループ
減免制度を学び活用につなげ

道東・ねむろグループ
減免制度を学び活用につなげ

国保料減免申請の説明をする小川さん

解雇された男性の国保料減免申請へ


 道東勤医協ねむろグループでは外来看護師を中心に、健康の社会的決定要因(SDH)の視点から患者・利用者さんの生活背景をみようと、年間を通して「気になる患者訪問」にとりくんでいます。エトピリカ居宅支援事業部では、コロナ禍の影響で積極的なアウトリーチの活動ができていませんでしたが、外来の活動に刺激を受け、コロナ禍などで生活が困難になっている人をキャッチして支援しようと患者・利用者さんに「新型コロナウイルスの生活影響調査アンケート」を実施しました。
 8月末の職員会議で、コロナの影響で収入が減った方を対象にした国保料減免制度について学習し、制度を必要としている人に知らせて活用してもらおうと話し合いました。
 収入の変化や支援制度の活用状況を聞くアンケート用紙を作り、居宅・訪看の職員は訪問時に、デイサービスでは利用者家族に、診療所の外来患者には看護師や事務員が声をかけて聞き取りました。
 「患者さん、利用者さんの生活背景はある程度把握しているので、国保を利用している方で生活や収入が心配な方を中心に声をかけました。調査を通じて、あらためて国保料の高さに驚きました」と、訪問看護ステーションエトピリカ居宅介護支援事業部の小川大吉さんは話します。
 このとりくみを通じて、解雇されて収入が激減していた人の国保料(税)の減免申請につなげました。
 8月から介護サービスを利用することになった夫婦から話を聞くと、夫の安藤忠信さん(60代・仮名)が勤めていた会社を3月に解雇されていたことがわかりました。安藤さんは4月からアルバイトを始め、失業保険とあわせて月収15万円で暮らしていました。しかし、8月に失業保険が終わり、同時にアルバイト期間も終了するため収入が途絶えてしまいます。安藤さんはハローワークで国保料の減免制度について説明を受けていましたが、手続きが非常に難しいと感じ、月額19万7千円もの国保料を収めようとしていました。
 安藤さんの前年の年収は220万円で、今年は3割以上の減収です。小川さんは、国保料が全額免除になる可能性があることを伝え、必要な申請書類を準備してもらい、小川さんが役所に同行して減免申請しました。受理されれば全額免除になる見込みです。
 小川さんは、「今のところ安藤さんは生活保護が必要な状況ではありませんが、今後も見守っていきたい。国保料減免だけでなく、国保法44条による負担軽減など、本来は活用できるのに知らされていない、または我慢している人をキャッチして制度活用につなげていきたい」と話しています。

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