ムーヴメント

そこに住むだけで健康になれるまちへ

2020年10月23日

全道をオンラインで結び学運交を開催
千葉大学・近藤教授から「ゼロ次予防」を学ぶ

全道をオンラインで結び学運交を開催
千葉大学・近藤教授から「ゼロ次予防」を学ぶ

 10月10日、北海道民医連第10回学術・運動交流集会が、新型コロナウイルス感染防止のためオンラインによるリモートで開催。各ブロックの友の会からのリレートーク、4つの分科会がおこなわれました。(集会の映像は「職員専用のページ」から視聴できます)

 

 記念講演は、千葉大学予防医学センターの近藤克則教授(写真)が「Withコロナ時代に向けたゼロ次予防」と題して、病気の原因となる社会経済、環境、行動的条件の発生を防ぐための対策について説明。その地域に暮らしているだけで健康になれる「ゼロ次予防」について紹介しました。
 はじめに、全国の高齢者25万人の調査データをもとに、公園や食料品店が近くにあるかなど、住んでいる環境によって歩行時間の違い、要介護、認知症のリスクを分類。郊外や農村部に比べて、歩く機会が多い政令都市ほど認知症や要介護になるリスクが低くなることや、サークル活動やボランティアなどに参加する人が多い地域ほど物忘れが少ないというデータを紹介。
 また、日本人の塩分摂取量が減少している要因について、「一人ひとりが気をつけているだけでなく、食品加工業者が塩分を控えてきたことが大きい。こうした環境づくりをすることで、全体の健康推進を図ることができる」と「ゼロ次予防」の具体例を説明しました。
 さらに、コロナ禍での外出自粛によってリスクが高まる疾病の予防として、インターネットを活用した交流を紹介。「コロナ禍で社会環境の変化が求められているが、人と人とのつながりの必要性は変わらない。従来の交流とオンラインをくみあわせることで、さまざまなリスクを抑えることができる。とくに広大な北海道はオンラインの活用が期待される。『ゼロ次予防』で健康長寿社会をつくる先頭に立ってほしい」と呼びかけました。
 続いて、友の会の各ブロックから、「友の会強化月間」で電話による対話をすすめてきたことなど、多彩な活動が紹介されました。
 オンラインでの開催については、「移動時間やお金ををかけることなく参加できて良かった」「子育てや介護をしている人も参加しやすくなる」と好評でした。

 

 

 分科会では4つのテーマに沿って、この間の実践を報告・共有しました。


第1分科会
コロナ禍の医療活動


 「新型コロナ禍の医療介護活動」をテーマにした第1分科会では、新型コロナウイルスの院内感染対策マニュアルやチェック体制を見直してきた中央病院の経験が紹介され、「普段から標準予防策を徹底していくことが重要」と確認しあいました。
 北見病院の菊地憲孝院長は、今年2月から感染者の対応について地域の基幹病院や医師会、保健所と協議を重ねてきたことを紹介。その中であらためて連携の必要性や難しさについて語りました。


第2分科会
感染対策の経験交流


 「新型コロナの感染対策」をテーマにした第2分科会では特養もなみの里から、札幌市内の介護施設での大規模クラスターが発生を機に感染症対策のマニュアル作成をしてきた経験について紹介されました。
 勤医協歯科からは、機械器具の消毒徹底など歯科診療ガイドラインを遵守しながら感染対策にとりくんできた経験が紹介されました。


第3分科会
受療権を守るまちへ


 「受療権を守るとりくみとまちづくり」をテーマにした第3分科会では、札幌病院などでとりくんだSOSなんでも相談会や、地域の学校やハローワークを訪問して無低制度を知らせるとりくみが紹介されました。
 道東勤医協からは、コロナ禍による生活困難事例や、釧路市に対して地域の諸団体と共同して感染症対策強や財政支援を要望したとりくみが報告されました。


第4分科会
経営改善の経験共有


 「新型コロナと経営活動」をテーマにした第4分科会では、道北勤医協から、友の会役員への電話がけや、診療拡大をハガキで患者さんに告知したとりくみによって収益が改善したことが報告されました。
 江差診療所からは、労災患者を多く抱えていることや、待合室が密にならない工夫、中断チェック、保健所と連携してたきたことが紹介され、コロナ禍でも経営が悪化しなかったことを報告しました。

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