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病院窓口負担が2倍に⁉︎

2020年12月11日

全世代型社会保障制度改革
月収17万円の高齢者370万人に影響
絶対に阻止を

全世代型社会保障制度改革
月収17万円の高齢者370万人に影響
絶対に阻止を

 「年金だけでは生活できず働いていたが仕事がなくなった」「収入が減って保険料も払えない」。コロナ禍により、多くの国民が困難に直面しています。特に高齢者は、少ない年金に苦労しています。しかし菅政権は、現在、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担1割を2割に引き上げようとしています。


2022年に改悪

 12月に入ってからテレビや新聞が、「2割負担年収170万円以上520万人」(毎日)、「医療費負担2割化に反対 高齢者座り込み続く」(赤旗)と、いっせいに報道しました。
 自公政権は2019年9月に「全世代型社会保障検討会議」を設置しました。この会議は、団塊の世代が75歳に到達しはじめる2022年に向けて、全世代にわたる社会保障や働き方を見直すものです。「少子高齢化の中で子育てにシフトする」と言っていますが、その内容は、年金の保険料引き上げや支給年齢の引き上げ、労働条件の改悪、医療保険制度や介護保険制度の改悪を盛り込み、国民にいっそうの負担増を押し付けようとするものです。その柱のひとつが後期高齢者(75歳以上)の医療保険の窓口負担を2割にすることです。


月収17万円で対象に
 当初は今夏にも答申を出す予定でしたが、新型コロナ感染拡大の影響により先送りされてきました。しかし、菅政権は2022年からの2割化をめざし、与党内での調整を急ピッチですすめ、検討会議で結論を出そうとしていました。
 厚生労働省は、11月19日の社会保障制度審議会・医療保険部会に具体案として収入別に5つの案(表)を示しました。
 そして12月9日、菅首相は公明党の山口代表と会談し、年収200万円以上を対象とする案に合意しました。約370万人に影響することになります。最終的には、75歳以上のすべての高齢者の医療費窓口負担を2割にしようとする意図は明らかです。


高齢者に大打撃
 小樽市は65歳以上の高齢化率が40%を超えています。患者さんへの影響について勤医協小樽診療所の山本将太事務長は、「診療所の実患者数は毎月1100人くらいで、そのうち後期高齢者の患者さんは約450人。低所得の方が多いので、医療費が2倍になれば本当に大変なことになります。患者さんの多くが複数の病院・診療科を受診しているので、生活が圧迫されるでしょう」と話します。
 日本医師会も、「コロナ禍のもと、さらなる受診控えを生じさせかねない政策で高齢者に追い打ちをかけるべきではない」と見解を出し、反対の意思を表明しています。


国民の声で中止に
 北海道民医連は毎年、「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」をおこなっています。保険証がない、窓口負担を払えないために受診できず、手遅れになった事例が毎年報告されています。
 そして今年は「コロナ禍による困窮事例調査」をおこない、2件の死亡事例が報告されました。治療を中断し悪化したなどの事例も多く報告されています。今回の「2割化」はこの深刻な現状をいっそう悪化させるものであり、受療権を脅かすものです。
 今、全国、全道では、「75歳以上医療費窓口負担2割化に反対する請願署名」のとりくみが大きく広がっています。国民の多くの声で自公政権に負担増を断念させましょう。

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