社会保障・呼びかけ

寿都町に核のゴミ最終処分場への調査応募の検討の撤回を求めます

2020年8月18日

寿都町に核のゴミ最終処分場への調査応募の検討の撤回を求めます

寿都町に核のゴミ最終処分場への調査応募の検討の撤回を求めます



2020年8月18日 

北海道民主医療機関連合会 

会 長     小市  健一


8月13日、高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」最終処分場選定の第1段階となる文献調査に、寿都町が応募を検討していることが明らかになりました。調査応募の検討を行う理由について片岡春雄寿都町長は「コロナで相当この町も痛めつけられて、来年度以降の財政はどうなっていくのか」「協力することで(交付金による)財源が見込める」と報道機関に語っています。これに対して寿都町民はもとより、多くの道民からも反対の声が上がり、マスコミも「疑問多い調査応募検討」(14日付北海道新聞社説)と投げかけています。私たち北海道民医連は、今回の調査応募の検討に反対します。


日本の高レベル放射線廃棄物の最終処分場をめぐっては、「トイレのないマンション」といわれる日本の原子力開発での重大問題の一つです。原子力発電所を稼働することで出る放射性廃棄物の最終処分場も決めず、原発建設を推進してきたのは歴代自民党政権です。2000年に政府は「最終処分法」を成立させ、地下300mより深いところに保管する地層処分とし、場所の選定のため希望する自治体を募りましたが、手をあげる自治体はありませんでした。そこで、政府は第1段階の文献調査では2年間で最大20億円、第二段階ではさらに70億円支給することを決めました。福島第1原発事故にあるように、安全性は確立されていない原発や核関連施設を設置するために、国から多額の交付金を誘い水にして、財政危機にある地方自治体に誘致させようとしたのです。


原発から出る核のゴミは、安全なレベルになるまで10万年の年月が必要とされていますが、地震の多い日本で地層処分が可能かは疑問の声があいついでいます。北海道は、核のゴミの道内持ち込み禁止をうたう特定放射性廃棄物に関する条例(核抜き条例)があります。このため、鈴木直道知事も13日にコメントを発表し、道内への核のゴミの持ち込みについて「慎重に対処すべきであり、受け入れがたい」と表明しました。


私たちは、この問題は寿都町だけの問題ではなく、近隣市町村や北海道民全体の問題だと考えます。地方財政が厳しいからと十分な議論もせずに「応募」への道を進むようなことがあってはなりません。コロナ禍で厳しい財政状況に追い込まれている問題は寿都町だけでなく、全国の自治体に共通する問題です。年々削減されている国の地方交付税交付金等の拡充を国に求め、「住民の福祉の増進」をはかるために必要な地方財政を確立することにあると考えます。地方財政を安定させることと引きかえに、住民はじめ道民のいのちと健康、暮らし、生業を脅かすことは許されません。


北海道民主医療機関連合会は、安心して住み続けられるまちづくりをめざしています。私たちは泊原発の再稼働に反対し、廃炉を求めています。そして片岡寿都町長に「応募の検討」との表明を、速やかに撤回することを求めます。

以上

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